この記事では、罪悪感に囚われず、より幸せな人生を送るための、脳科学に基づいた具体的な方法を紹介しています。
罪悪感など嫌な記憶ばかりがなぜ蘇るのか
人間は誰しも、過去の辛い出来事や悲しい出来事を経験するものです。
これらの経験は、私たちを苦しめ、前に進むことを阻む、嫌な記憶として脳に刻み込まれます。
しかし、なぜ私たちは、過去の嫌な記憶ばかりを思い出してしまうのでしょうか?
罪悪感が思い起こされるのは人間のメカニズム
罪悪感などの嫌な記憶がよく蘇る理由は、私たちの脳が、生き残るために進化の過程で獲得したメカニズムに隠されています。
人間は、生命の危機に直面したとき、その嫌な出来事を記憶することで、次に同じような危機が訪れた際に、適切な対処ができるように進化してきました。
例えば、子供が熱いものを触って火傷をした経験を記憶することで、次に熱いものに触れるときは注意するようになります。
嫌な記憶を意識的に記憶するのは、私たちが本能的に行っていることであり、過去の失敗から学び、成長していくために必要なプロセスなのです。
しかし、この嫌な経験を強く記憶する生存本能が、時に私たちを苦しめることがあります。
人間の生存本能が罪悪感を強くさせる
過去の辛い記憶に強く囚われてしまうと、過去の出来事と闘おうとする人が生まれてしまいます。
本来、私たちが目を向けるべきは未来のことのみなのに、もはや存在しない過去と戦って、それに打ち克つこともできません。
にもかかわらず、過去に固執するあまり、活力を奪われ、トラウマを抱え、精神的に病んでしまうということが、人間には起こります。
罪悪感が強くなり、自分を責めすぎてしまうのは、人間の生存本能のバグと言えるでしょう。
罪悪感とうまく付き合うための記憶の考え方
では、私たちはどのように罪悪感を引き起こす過去の記憶と向き合っていけば良いのでしょうか?
そのためにはまず、記憶の仕組みについて理解する必要があります。
記憶は主観的に作り替えられ、変化している
多くの人は、自分の記憶は絶対であり、過去の出来事をありのままに記録していると考えています。
しかし実際には、記憶は客観的な記録ではなく、脳が再構成した主観的な解釈であると言えます。
私たちが過去の出来事を思い出すとき、過去の出来事をバラバラに記憶している断片の中から必要な情報だけを選択し、統合し直して、ひとまとまりのストーリーとして再構成しているのです。
記憶を再構成する時、脳は、過去の経験に基づいて、記憶に情報を付け加えたり、逆に情報を削除したりすることがあります。
イメージとしてはステンドグラスをガシャンと割った後に、破片をかき集めて、足りない部分は勝手に付け足して、ステンドグラスを作り直すようなものです。
この方法だと前と同じものができるはずがありませんよね。
例えば、大人しく言いつけを守っていたのに父親から理不尽に怒られた子供時代の記憶について、
「あのときは、お前が嘘ばかりついて全然約束を守らなかったから、お父さんの堪忍袋の緒が切れたんだよ」
と、記憶違いも甚だしい全く逆のストーリーだったことを指摘されたというような話はいくらでもあります。
このように、記憶は常に変化しうるものであり、客観的な事実を反映しているとは限りません。
それにもかかわらず、多くの人は、自分の記憶を絶対視し、その記憶に基づいて、自分自身や他人を評価してしまいます。
過去の記憶はあなた自身が作り出したもの
過去をどう認識するかは、今の自分が決めているのです。
過去の出来事に対する評価は、時間の経過とともに変化することがあります。
例えば、過去に「あの時、ああしておけばよかった」と後悔していたことが、10年後には「失敗したと思っていたけれど、本当は大正解だったんだなあ」に変わるかもしれません。
あなたの意識の仕方次第で、記憶の解釈は一瞬にして変えられるということを常に意識してください。
罪悪感は自己責任と考えれば一瞬で消せる
現代社会において、罪悪感は、多くの人が抱える深刻な問題となっています。
しかし、罪悪感は決して消せないものではありません。
罪悪感の原因は、そのほとんどが自分自身の中にあります。
「同じ職場で働いている」「」「家庭環境が悪い」などと、他人や環境のせいにしている限り、罪悪感は消すことができません。
罪悪感は自己責任と考えることで抜け出せる
罪悪感を克服し、幸せな人生を送るためには、「何事も自己責任」という考え方を持つことが重要です。
自分が置かれている状況は、すべて自分が選択した結果であり、その責任は自分自身にあると自覚することで、初めてうつ病から抜け出すことができるのです。
「自分は悪くない」「自分は正しい」という考え方をしている人は、人生の様々な場面において、うまくいかないことがあったとき、すぐに他人のせいにします。
しかし、「あの人が悪い」と主張したところで、相手は自分の思い通りには動いてくれません。
それなのに、相も変わらず正しいのは自分だと思い込んでいると、不満ばかりが膨らんでいくことになります。
他責にする不満で前頭前野の活動が弱まる
不満は、心身に緊張をもたらし、前頭前野の活動を抑制し、その結果、心身ともに活発ではない人間になってしまいます。
罪悪感を治すためには、「何事も自己責任だ」と考えて選択と行動を行うこと以外にありません。
「自分はすごいヤツだ。何でも思い通りになる。」と思っている人に、罪悪感でいっぱいの人はいないのです。
脳科学に基づいたカンタンに罪悪感を消すたった3つの方法
この章では罪悪感からから自分を解放するための3つの方法を紹介します。
ポイント
1.高い抽象度で考える
2.嫌な罪悪感の出来事の記憶に、「嬉しい、楽しい、気持ちいい、すがすがしい、誇らしい」という情動感覚を結びつける
3.脳を自己発火させる
これらの方法を順に説明していきます。
抽象度を上げれば、感情はなくなる
人は誰しも、日々様々な感情に揺れ動かされています。
「嬉しい」「楽しい」「悲しい」「腹立たしい」「怖い」といった感情は、時に私たちを幸福感で満たし、時に私たちを苦しめもします。
これら感情に振り回されないためには、「抽象度を上げる」ことが有効であるとしています。
抽象度とは?
抽象度とは、物事を捉える際の視点の高さと言い換えることができます。
視点が低い状態とは、目の前の出来事に一喜一憂し、感情に支配されてしまっている状態です。
反対に、視点が高い状態とは、物事を長期的な視野、俯瞰的な視野で捉え、感情に左右されずにいられる状態を指します。
時間軸と空間軸を意識することで抽象度をあげる
抽象度を上げるためには、「時間軸」と「空間軸」の両方を意識することが重要です。
時間軸を意識するとは、過去の出来事にとらわれず、未来志向で考えるということです。
例えば、過去の失敗体験から
「自分はダメな人間だ」
と決めつけてしまうのではなく
「この経験から何を学び、未来にどう活かしていけば良いのか」
と考えるように意識することが重要です。
空間軸を意識するとは、自分だけの狭い世界に閉じこもるのではなく、より広い視野を持つということです。
例えば、仕事でミスをしてしまい、上司から叱責されたとします。
この時、
「自分はなんてダメな人間なんだ」
と自己嫌悪に陥ってしまうのではなく
「このミスによって、会社にどのような影響があったのか」
「今後はどのように行動すれば、ミスを防ぐことができるのか」
といったように、自分以外の立場に立って考えることが重要です。
時間軸と空間軸を意識することで、物事を多角的に捉えることができ、感情に振り回されない、より客観的な思考を育むことができるようになります。
「嬉しい、楽しい」をアンカリングしておく
罪悪感に襲われる時には、その罪悪感に紐づく記憶を思い出している状態です。
その罪悪感を思い出すタイミングに工夫をすると、罪悪感に紐づく感情を悪い感情にさせないことができます。
情動的記憶が長期にわたると嫌な記憶に囚われる
人は嫌な出来事に対して、その出来事自体だけでなく、その時に感じた「情動」も記憶してしまいます。
そして、その情動的記憶が長期にわたると、嫌な記憶に囚われやすくなってしまうとされています。
例えば、幼少期にいじめに遭っていた人が、大人になってからも、特定の人物や場所、あるいは匂いなどによって、当時の恐怖や不安といった情動を呼び起こされてしまうことがあります。
これは、情動的記憶が、当時の嫌な出来事と結びついて、長期記憶として脳に刻み込まれているためです。
「嬉しい」「楽しい」をアンカリングする
嫌な罪悪感に囚われないためには、嫌な出来事を思い出した時に、「嬉しい」「楽しい」といったプラスの情動を意図的に出すことが有効です。
「嬉しい」「楽しい」といった情動感覚を、あらかじめ意図的に用意しておくことをおすすめです。
これは、嫌な出来事を思い出した際に、すぐにプラスの情動を引き出せるようにするためです。
この嫌な記憶にプラスの情動を紐付けるテクニックをアンカリングと呼びます。
例えば、リラックスできる音楽を聴きながら、「落ち着いて」「リラックス」といった言葉を心の中で繰り返すと、その音楽とリラックスした状態が結びつきます。
「嬉しい」「楽しい」「気持ちいい」「すがすがしい」「誇らしい」という五つのプラスの情動感覚を、それぞれアンカリングしておくことが推奨されていますおすすめです。
これらのプラスの情動感覚は、写真やアクセサリー、場所など、自分にとって分かりやすいトリガーと結びつけておくことが重要です。
罪悪感が思い出された時には、自分のトリガーを持ち出して、意識的にプラスの感情を思い起こしてください。
そうすると、嫌な記憶にプラスの感情が結びつき、だんだんと罪悪感が悪い感情から引き離されていきます。
自己発火をすれば、幸せになれる
人は脳を自己発火させることで、幸せな状態を作り出すことができます。
自己発火とは、外部からの刺激ではなく、自らの意思によって、脳を活性化させることを指します。
アファーメーションで自己肯定感を高める
自己発火を起こすためには、アファメーションという手法が有効です。
アファメーションとは、目標達成を促す肯定的な自己暗示のことです。
例えば、
「私は仕事ができる」
「私は魅力的な人間だ」
といったように、自分を肯定する言葉を繰り返し唱えることで、自己肯定感や自己肯定感を高める効果があります。
アファメーションを繰り返し行うことで、脳は自己発火を起こし、目標達成に向けて必要な行動を起こせるような状態になっていきます。
リラックスして趣味を持つ
最後に、罪悪感を解消するためには、リラックスして趣味を持つことが重要です。
緊張状態が続くと、交感神経が優位になり、前頭前野の活動が抑制されてしまいます。
前頭前野の活動が抑制されると感情のコントロールが難しくなり、嫌な記憶に囚われやすくなってしまいます。
一方、リラックスした状態では、副交感神経が優位になり、前頭前野の活動が活発になります。
前頭前野が活発に働くと、感情をコントロールすることが容易になり、嫌な記憶に囚われにくくなります。
また、リラックスすることで、ストレスホルモンの分泌が抑制され、心身ともに健康な状態を保つことができます。
趣味を持つことは、リラックス効果だけでなく、自己肯定感を高める効果もあります。
趣味に没頭することで、嫌なことを忘れ、気分転換することができます。
また、趣味を通して、新しい知識や技術を身につけることができるので、自己肯定感が高まるため相乗効果があります。
まとめ:脳科学に基づいたカンタンに罪悪感を消すたった3つの方法
この記事では脳科学に基づいた罪悪感を解消する方法を解説しました。
罪悪感は日常的に誰でも持つ感情です。
しかし、罪悪感を持ち続けることで、日常生活に悪影響を及ぼすこともあります。
今回紹介した方法で、罪悪感を過去のものとし、未来へ踏み出す一歩としてもらえればと思います。