罪悪感を持つことって悪いことなのかな?
罪悪感に苛まれる意味について解説しましょう
人はさまざまな場面で罪悪感を感じます。
「親の期待に応えられなかった」
「一方的に振って、相手を傷つけた」
「悪いことだとわかってるけど、浮気をしている」
「仕事をズル休みしてしまった」
「無駄なものにお金を使ってしまった」
しかし、同じような場面に出くわしたとしても、罪悪感を持たないという人もいるのも事実です。
一体、罪悪感を感じるのはどのような意味があるのでしょうか?
この記事では、罪悪感を持つ意味や解消法について解説していきます。
罪悪感とは?| 罪悪感の正体
罪悪感とは、「自分の観念に反することをしてしまったことへの自身を責める感情」です。
観念というのは、自分の中で定まっているルールや規範のことで、強い観念であればあるほど、罪悪感は強くなります。
例えば、休日に一日中YouTubeを見てダラダラと過ごしたとしましょう。
このとき、「休日は友達と過ごすなど有意義に使うべきだ」と考えている人だとすると、やったことと観念が相反するので、罪悪感を持ってしまいます。
できごと:休日にダラダラ過ごしてしまった
↕️相反する
観念:休日は有意義に過ごすべきだ
このように罪悪感を感じるというのは、誰にでも起こりうることで、日常茶飯事なできごとです。
ですが、罪悪感を強く持ちすぎたり、長く放置してしまうことで日常に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
罪悪感の5つの種類
罪悪感にはいろいろなタイミングで感じるものですが、いくつかの種類に分けることができます。
・無力であることへの罪悪感
・加害者としての罪悪感
・恵まれていることへの罪悪感
・自分は穢れていると感じる罪悪感
・親やパートナーからの罪悪感
無力であることへの罪悪感
助けたい、守ってあげたい、役に立ちたいと思いながらも、うまくいかなかった場合に生まれる罪悪感です。
頑張ったけれど結果が良くなかったときだけではなく、行動するべきだった場面でしなかった場合にも起ります。
例.
・良かれと思って先輩をサポートしたが、むしろ足手まといになった
・いつも悲しんでいるお母さんの役に立とうと頑張ったが、一向に元気にならなかった。
・同僚の顔色が悪いことはわかっていたが、疲れていたので手伝わなかった
加害者としての罪悪感
自分の行動で故意ではないにしても、相手を傷つけてしまった場合に生まれる罪悪感です。
罪悪感といえば、この加害者としての罪悪感を思い浮かべる人も多いと思います。
苦しむ人も多いですが、誰しも感じる普通の感情であると意識してください。
例.
・自分が浮気をしてしまい、パートナーを傷つけてしまった
・子どもにカッとなって強く言いすぎてしまい、部屋にこもってしまった
・友人との口論で相手を傷つける言葉を言ってしまった
恵まれていることへの罪悪感
自分が周りの人よりも恵まれていることで、他者から嫉妬を感じてしまう罪悪感です。
恵まれていること自体は素晴らしいことですが、その価値を自身で受け入れられない時には、罪悪感を持ってしまいます。
例.
・周りの友達には彼氏がいないのに、自分だけ彼氏と楽しく過ごしている
・家が裕福で友達と違う休日の過ごし方をしているので、学校で話すのをためらう
・高学歴であることが嫌味になるのではと思い、関連する話題を避けている
自分は穢れていると感じる罪悪感
さまざまな罪悪感が蓄積することで、自分自身が穢れている存在だと感じてしまう罪悪感です。
この罪悪感を感じるのは、特に原因がわかるものではなく、自覚しにくいもので無意識のうちに自分が幸せになれない選択を繰り返してしまいます。
例.
・自分といても幸せになれないと感じ、周りから距離をとってしまう
・自分が幸せになってはいけないという感覚がある
・自分がアルコール、ギャンブル、ワーカホリックなどの依存症の傾向がある
親やパートナーからの罪悪感
愛する人の役に立ちたいという気持ちが強く、相手が背負っている罪悪感を一緒になって背負おうとする種類の罪悪感です。
他人が持っている感情で自分が苦しむというピンときにくい状態に陥ってしまいます。
特に子どもは親の行動や感情をコピーする傾向があるため、親が「自分が穢れている」と感じていると、同じ感情を持とうとしてしまうことがあります。
例.
・親が「こんな親で申し訳ない」と思っていると、子どもが「こんな子どもでごめんね」という感情を持つ
・パートナーがハードワークをしているので、自分も忙しくしなければと感じる
罪悪感を持つのは悪いことではない?
では、罪悪感を持つことは悪いことなのでしょうか?
答えはノーです。
罪悪感は、誰しもが持つ感情であり、必ずしも悪い影響があるわけではありません。
罪悪感があるからこそ、人は反省し、次の行動をより良くすることができます。
真面目な人ほど罪悪感を感じやすい
罪悪感は、「自分で持っている観念と反することをしてしまったことへの自信を責める気持ち」です。
なので、あなたが守らないといけないと思っているルールが多ければ多いほど、罪悪感は感じやすくなります。
例えば、急いでいて信号が赤になっているのに横断歩道を渡ってしまったとしましょう。
このとき、
「急いでいたんだからしょうがないよね」と思う人
「赤信号は絶対に止まらなきゃいけない」と思う人
この2人がいた場合、感じ方は全く違いますよね。
後者のほうが真面目に見えますが、自分で自分を責めてしまうことになるでしょう。
罪悪感を感じすぎて困っているという人は、「自分はなんて真面目なんだ」と自分自身を褒めてあげることで、少し気持ちが楽になります。
罪悪感を持ったままだと起きる悪影響
罪悪感を感じること自体は、悪いことではありません。
しかし、人は失敗してしまったことは強く記憶してしまう性質があります。
失敗してことを記憶しておけば、次同じことを発生させる確率を低くすることができるからです。
ですが、罪悪感は、強く自分を責めてしまったり、長期間持ち続けてしまうことで悪影響が出ることがあります。
・気分が落ち込んでやる気が起きない
・正当化しようと強く反論してしまう
・ストレスを解消しようと悪いことをしてしまう
・人間関係の作り方がわからなくなる
気分が落ち込んでやる気が起きない
罪悪感を持ち続けていると、次の行動をしようとする意欲が失われてしまいます。
本来、罪悪感は「過去のことを反省して次に活かす」ためのものなので、次に活かせないのは本末転倒な事態です。
自分がコントロールできない過去に固執するのはやめて、今変えられる現在に目を向けましょう。
正当化しようと強く反論してしまう
罪悪感が強いと、「私は悪いことをしていない!」と正当化しようとする気持ちが出てきます。
正当化しようとする人は、他人から見ると「悪びれてない」と感じてしまいますが、実は罪悪感を強く持ちすぎている状態です。
自分に非があると認めてしまうと、それ相応の補償をしないといけないので、人は正当化をしてしまうことになります。
「この人悪いと思っているのかな?」と疑問に思う態度を取る人もいるでしょうが、「この人も強い罪悪感を持っているのだ」と思って、接してみてください。
ストレスを解消しようと悪いことをしてしまう
罪悪感を解消できずにいると、表面的な態度とは異なる裏の顔を持ってしまいます。
いい人であろうとすればするほど、自責の念を持ってしまい、悪い行動として表に少しずつ出てきてしまうのです。
例.
・一流大学を受ける頭のいい学生が万引きをする
・職場では頼れるビジネスマンがギャンブルにハマる
・身なりのいい奥様が万引きをしてしまう
真面目でいい人であることは、良いことですが、考えすぎてしまうと自分で自分を縛ってしまうことになります。
「こんな自分でも大丈夫」とありのままの自分を受け止め、認めてあげてください。
人間関係の作り方がわからなくなる
罪悪感が蓄積することで、自分が穢れているという感覚を持ってしまい、人間関係を作ることを避けてしまいます。
また、人間関係を避けるだけではなく、相手に対して強い依存をしてしまうことにもなります。
そうすると、相手はあなたとの距離を取ろうとしてしまうため、結果人間関係を形成しづらくなってしまうんです。
相手が強く反抗することで、激しい喧嘩、パワハラ、モラハラ、DVなどにも繋がってしまいます。
罪悪感の消し方
何度も書きますが、罪悪感を持つこと自体は普通の感情であり、役に立つものです。
あなたの行動を制限してしまっている罪悪感に気づき、それを取り払うことで適切に罪悪感をつきあうことができます。
無用な罪悪感を消す方法は、主に3つの方法があります。
・できごとの意味を捉え直す
・自分の過ちを許す
・罪悪感を活かす方法を考える
できごとの意味を捉え直す
罪悪感を抱くのは、あるできごとが自分の観念に反するときに起きます。
では、今回のできごとは「本当に自分の観念に反することだったのか?」を改めて考え直すことで罪悪感を解消することができます。
できごとを捉え直そうとする時には、以下の3つに着目して、考えてみてください。
①問題が発生した時の責任は50対50であることが多い
②発生してもしょうがない状況もあり、あなたにはコントロールできないこともある
③他人の感情は推測してもわからない
例えば、告白してきてくれた人を振ってしまって相手を傷つけたという場面で考えてみましょう。
このとき、できごとの意味を捉え直す問いかけは、以下です。
①「本当に100%自分の責任か?相手にも責任はないか?」
②「断るのはしょうがない状況ではないか?」
③「本当に相手は傷ついたか?もう立ち直ってはないか?」
あなたは傷つけたと思っていても、案外相手はケロッとしていることも多いものです。
思いこみによって罪悪感を持ち続けるのは、無用なことです。
真面目でいい人ほど、自分に責任があると思いやすいので、3つの視点で新たに考え直してみてください。
自分の過ちを許す
罪悪感から反省するのはいいことですが、自分を許せず次の行動ができないのは悪影響を及ぼします。
自分の過ちを許すことで、次の行動に移れるように気持ちを軽くしてあげましょう。
自分の過ちを許すには2つの方法があります。
・自分で自分の過ちを許す
・他人に自分の過ちを許してもらう
自分で自分の過ちを許す
過ちは誰にでもあることで、正しい行動を常に取れる人はいません。
悪いことだとわかっている上でしてしまうことでも、そんなことをしてしまうあなたを含めて認めてあげてください。
自分を許すときのポイントは、「まずは感情的に理解してあげること」です。
例えば、ダイエットをしようとしているのに、ついポテトチップスを一袋開けて食べてしまったという場合を考えてください。
理性的に考えると、「ダイエットをしているのに、カロリーが高いものを食べるのはダメだ」となります。
しかし、理性的に考えて自分を責めるだけでは罪悪感は消えません。
まずは、感情的に理解することから始めましょう。
感情的に考えると、「ダイエットのストレスがあったから、一度くらい食べてもいいのではないか」と考えられます。
一度感情的に自分を理解してあげて、自分の行動を許した上で理性的に考えて対処法を考える順番にしてみてください。
ポイント
1.感情的に理解して自分を許す → 2.理性的に考えて対処法を考える
他人に自分の過ちを許してもらう
傷つけてしまった相手がいる場合や自分を肯定してくれる人がいる場合は、その人から許してもらうことができます。
他人から許してもらうのは、主に2つ方法があります。
・傷つけてしまった人に謝る
・相談できる相手から許してもらう
傷つけてしまった人に謝る
傷つけてしまった相手がいる場合は、謝ることで許してもらうことができます。
たとえ、相手が許してくれなかったとしても、「自分ができることはやった」と自分で自分を許すための証拠として使うこともできます。
ただし、あなたの罪悪感を軽くするために、相手に悪い感情を背負わせるのはやめましょう。
あなたの罪悪感も強くしてしまうことにもなります。
例えば、あなたがパートナーに隠して浮気をしているとき、罪悪感を軽くするために正直に話して謝ると、相手を傷つけてしまいます。
謝ることで傷つけるのであれば、違う方法で罪悪感を消すのをオススメします。
相談できる相手から許してもらう
相談できる相手がいる場合は、相談してみて客観的にできごとを見てもらいましょう。
相手が思いつかない場合は、カウンセラーなどプロに頼ることも重要です。
罪悪感を活かす方法を考える
これまで見てきたように、罪悪感を次の行動に活かすことで真価を発揮します。
なので、今回のできごとがまた発生しないようにするには、どうすればいいかを考えてみましょう。
ポイントは2つです。
・自分の意思に頼りすぎない
・しょうがないと諦めるしかないこともある
自分の意思に頼りすぎない
次同じことをしないための対処法としてよくあるのが、「〜するように意識する」というものです。
・ダイエット中はお菓子を食べないように意識する
・仕事で経理のミスをしないように意識する
ですが、人の意識というのは弱いもので、同じ場面に出くわすと、途端に決意が崩れ落ちてしまうことが多々あります。
なので、なるべく同じ状況に持ち込まないように仕組みを作れないかを考えてください。
意思に頼ってしまうと、「またやってしまった」となることも多いので、意思を働かせなくとも解決できる方法をまずは探しましょう。
しょうがないと諦めるしかないこともある
それだけ対策を考えても、あなたの責任ではないことは解決策は出てきません。
そういった対策方法が出てこない場合は、「しょうがないことだった」と断言することも必要です。
対策を考えている時点で、あなたはそのできごとに対しての責任を果たしたことになります。
自分を責めるのを辞めて、諦めてしまいましょう。
罪悪感を抱える人にどう対応すればいいか
友達やパートナーなどが罪悪感に苛まれて、あなたに相談をしてくることがあると思います。
そんな時に、あなたはどう対処すればいいでしょうか?
罪悪感に苛まれている人への対処法のポイントは3つです。
・アドバイスをしようとしない
・傾聴し「しょうがなかった」と相手を許す
アドバイスをしようとしない
罪悪感を持っている人に、説教やアドバイスをするのはご法度です。
「こうすればよかったんだよ」
「そこで〜しちゃダメだね」
という風に良かれと思って、アドバイスをするのは辞めましょう。
罪悪感を感じている人は、既に十分に反省をしています。
男性の場合は特に一緒に対策を考えようとしますが、アドバイスは求められていません。
傾聴し「しょうがなかった」と相手を許す
罪悪感を持っている相手の気持ちを楽にするためには、とにかく相手の話と感情を聞いてあげることです。
相手が話すことをなるべく黙って聞き、溜まっている感情を吐き出してもらいましょう。
あなたに相談できるということは、回復の可能性が非常に高いです。
重度の場合は、他人に相談するという考えにもなりません。
傾聴し相手の話を聞き終わったら、「〜だから、しょうがなかったよ」と相手を許す姿勢を見せてください。
相手がその許しを否定したとしても、許す姿勢を崩さないであげてください。
まとめ:罪悪感をうまく付き合っていきましょう
罪悪感を感じるのは、人間として普通の感情です。
罪悪感をうまく付き合い、あなたの人生をより良いものにしてください。
もし、罪悪感に苛まれてどうしようもなくなった時には、プロに頼ってみるのも一つの手なので、手段として持っておいてください。